地固め③ 36日目 敗血症ショック

しばらく更新できずにいました。
この期間、僕は非常に危険な状態にありました。
死の一歩手前の中、闘い、生死の淵から生還しました。

僕を襲ったのは、敗血症ショック。
6月2日のことでした。
前回のブログで、親不知に痛みがあると書いていましたが、感染源はおそらくその親不知からでした。

6月2日、朝食を食べた後、体が火照りだしたので、熱が上がってくるなぁとは感じていました。案の定、37.5で血液培養が決定、抗生剤を開始していきましょうと言われるまでは、いつもの流れでした。
しかし、いつもと違う。
体は急激に震えだし、熱がどんどん上がっていくのが分かる。
以前、カテーテルから感染した時と似ている、でも、それ以上になるというのが直感でわかった。
不運にも、この時、点滴がつながれていなかったため、針を挿入するところからはじめなくてはいけなかった。
針を挿入しなくては、抗生剤も始めることができない。ただ、かなり震えているため、看護師さんが針を挿入できない。
湯たんぽでしばらく温めてから再度チャレンジすると言われたが、自分の状態的に、どんどん抗生剤を入れてくれないとまずいのではと思っていた。
30分経って、再度チャレンジしても失敗。
ベテランの看護師さんが来て、どんどん抗生剤はじめなきゃまずいと言い、自ら針を挿入し、1発で成功してくれた。
ただ、抗生剤を入れても一向に良くなる気配はない。

そして、熱は、42.6に達した。
そこから、うろ覚えだけど、吐き気が次々と襲い、何度も吐いた。
横になっていても気持ち悪い。
自分の視界が、また自分自身がぐるぐる回っている状態がずっと続いていて、ちょっとでも体を起こそうものなら、その症状が急激に増し、気持ち悪さが倍増する。
熱が上がりきっても、全身が痙攣しているような状態が続く。
呼吸が苦しくなり、酸素吸入器を装着される。
心臓の動きが異常に早い。
血圧は、上が確か50~60まで低下し、かなり危険な状態という声がかすかに聞こえてきた。
自分の中では、もう1日経ったんじゃないかと思った時があったけど、実際には、全然時間が経っていない。
この症状はどれだけ続くのか。

主治医の先生から、敗血症というコトバを聞いた記憶はあるけど、それが何時ころだったかは覚えていない。
血液培養検査の結果というのは、通常数日後に出るらしいんだけど、僕の場合はすぐに出たらしく、すぐに出るということは、かなりの菌が全身に回ってしまっている状況であるらしい。

菌が特定できたため、抗生剤を追加。さらに敗血症ショックのための処置が開始された。
とにかく大量の水分を体にいれる。ハイドロコートンという自分の免疫を下げることによって熱を下げるという薬も投与された。
朦朧としていたので、何を入れられたのか、詳細は分かっていないけど。

先生からは、「正念場です。」というコトバを何度も投げかれられた。
元気になってから先生に聞いた話によると、敗血症ショックは、細菌感染症が血液に入り込み全身に波及(これを敗血症という)し、これによって血圧が危機的なレベルまで低下、血流量が不足して多くの臓器が機能不全に陥る状態のことを言うらしい。
生命の維持に欠かせない臓器である、腎臓、心臓、脳への血流量が低下してしまうみたい。
これに対処するために心臓の活動が激しくなって、心拍と送り出される血液の量が増加。細菌毒素と心臓への負荷により、心臓が弱くなる。その結果、心臓から送り出される血液量が減少し、生命維持にかかわる臓器に血液が十分供給されなくなる。
これらの流れで、腎臓からの尿量がまったく出なくなったりして、血中に老廃物が蓄積してしまったり、血管壁から体液が組織内に漏れやすくなり、浮腫が起こったり、また、肺の血管から体液がしみ出し、それが蓄積して呼吸が困難になり、肺機能が悪化するらしい。とにかく、もうね、簡単に言うと、感染症の中で、1番ヤバイ感染症ってこと。死亡率は、50~60%とかなり高く、死亡する人は多い。
いかに早く対処できるか、が死亡リスクにも関わってくるみたいなんだよね。まあ、そうだよね、臓器がやられていくんだから。
その対処として、とにかく大量の水分と抗生剤を体に入れて、血液中の体液量ってのを増やして血圧をまずあげることが大事なんだと。ただ、水分を大量に入れているため、これを尿として出せるか、これがキーになるらしい。尿として出さないと、心臓や肺にも負担になって、血栓とかもできやすくなって、心筋梗塞(?)とか脳梗塞(?)とかを起こしやすくなるらしい。
この時点、つまり心臓や肺への負担で、死んでしまう人もいるみたい。
ほんと、こうやって書いてるだけでも、恐ろしい感染症というのがわかる。
つまり、先生から何度も「正念場です」といわれていた日々は、本当に死が近い状態であったんだと思う。
僕の場合は、白血球が底をついていた時(何と、0だったんです)に敗血症ショックが起きて、今までの治療の傾向から、まだまだ上がりださない時だったから、菌を殺せない状態だったんです。抗生剤というのは、あくまで白血球と結びつくことによって菌を殺すので。だから、白血球があれだけ低いときの抗生剤は、あくまで菌の増殖を抑制する働きにしかならない。
あの時は、状況が状況だったから、普通は骨髄性白血病のタイプの人には投与しない白血球(正確に言えば好中球)を人工的に上げる薬を約1週間ぐらいだったか、投与しました。ノイトロジンていう薬。これを点滴に溶かして24時間で投与してた。前にも書いたけど、これを投与するリスクとしては、白血病細胞を刺激し増やしてしまう可能性があること。でも、状況が状況だから、その薬を投与しないわけにはいかないのです。

ショック状態から抜け出した後も、約2週間熱も、40.0~38.0を行ったり来たりと、なかなか下がってくれなかった。
CRPは、約30ぐらいまでに上がりました(基準値は、0.3以下)

まさか、最後の治療で、こんな大きな山が来るとは思っていなかった。でも、乗り越えました。生死の淵から生還しました。

嫁にも、本当辛い思いをかけてしまったね。
夫が苦しんでる姿を見るのは、本当に辛かったと思う。
近くのホテルに宿泊してすぐに来れる状況を整えてくれていたり、トイレや食事、歯磨きにしろ、かなり手伝ってもらった。
心から感謝です。
写真は、気分転換に、と買ってきてくれたサッカー雑誌。

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